SDGs-1グランプリ2020
今年も10月15日(木)から18日(日)までの4日間、映画、アート、笑いを集結させた『京都国際映画祭2020』を開催。今年はオンラインでの開催となりました。
3日目となる17日(土)には、今年で4年目となる『SDGs-1グランプリ2020』が開催され、大人気の芸人たちが参加しました!
京都国際映画祭の恒例となったこのグランプリ。国連で採択された、持続可能な開発目標=SDGs(SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS)とのコラボレーション企画として行われるイベントです。
2030年までに、達成する持続可能な開発目標は17項目。
『SDGs-1グランプリ2020』では、今、注目の芸人にこの17の開発目標からひとつ選んでもらい、その項目をテーマにネタを披露。「誰がいちばん笑いを交えてわかりやすく、楽しく伝えることができるか」を競います。
今年は、新型コロナウイルス感染予防対策としてオンライン配信での開催となった本大会。
大阪は『MBSちゃやまちプラザステージ』から、東京は今年8月にオープンした『よしもと有楽町シアター』から笑いを届けました。
2020.10.17
MCは浅越ゴエと福本愛菜が担当。
出場者は東京会場、大阪会場に分かれ、コウテイ(大阪会場)、すゑひろがりず(東京会場)、見取り図(大阪会場)、3時のヒロイン(東京会場)、小泉夫妻(大阪会場)、アインシュタイン(大阪会場)、佐久間一行(東京会場)、ミルクボーイ(大阪会場)の8組となりました。
審査は西川きよしが審査員長を務めるほか、視聴者の皆さんからの投票数によって優勝者が決まります。
毎年審査員を務めているきよしは「年を増すごとに皆さんにご理解していただき、今回で4回目。テーマを入れながら、というのはなかなか難しいと思うのですが、皆さん上手に作っています」と今年も期待。
また、ゲストとして、国連広報センター所長の根本かおる氏、昨年のSDGs-1チャンピオンのEXITがリモート観戦しました。
笑いながらSDGsを学ぼう
トップバッターのコウテイは、「質の高い教育をみんなに」をテーマに漫才を展開。
「教師は偉大なんだんだな」と教育の難しさと教師への感謝を伝え、道徳の授業をベースに、コウテイらしい世界観を爆発させていました。
きよしは「迫力に驚きました!」と目を丸くします。根本氏も「クセになりそう(笑)。こう来るか!という感じでシュールでした」と笑顔で語ります。
2番手のすゑひろがりずは「陸の豊かさも守ろう」を選び、“あんころ奉行”の伝統芸能コントを展開。
木をむやみに切り、売りさばこうとする“ばいのきん”と、“あんころ奉行”のせめぎあいを見せます。
狂言とSDGsのコラボに、きよしは「いちばん気にしているテーマをコントにしていてよかったです」と感想を述べますが、昨年王者のEXIT・りんたろー。は「テーマを前半に消費しようという魂胆が見えました」と厳しい指摘も……!
見取り図は「平和と公正をすべての人に」をテーマに漫才。
消防士・警察官になるための学校に通っていたという盛山は、平和を愛する気持ちがひときわ強いそうで、絶対に許せないという“チカンの冤罪”をベースに展開。
きよしが「なぜこのテーマを選んだんですか?」と尋ねると、リリーは「僕らはコンビを組む時に、平和と公正をテーマに組もうと言っていたんです!」と答え、笑わせます。
さらに盛山は現行犯でチカンを捕まえたことがあると語ります。
捕まえたのが盛山なのに、チカン引き渡しの際には、駆けつけた警察官から盛山がチカンに間違われてしまった……という珍事を明かし、これには皆爆笑。
根本氏は「ハードルの高いゴールに挑戦していただいてありがとうございます」と笑顔をみせていました。
2つのテーマに果敢に挑戦
「人や国の不平等をなくそう」、「平和と公正をすべての人に」と、2つのテーマを選んだのは3時のヒロイン。
シンデレラの役の福田に、ゆめっちとかなでが海外ドラマ風に絡みつつ、漫才にうまく目標項目を入れ込んでいました。
きよしは「ふたつを取り入れた理由は?」と質問。
これに対し、福田は「もともとシンデレラという漫才があって、内容に近いのを2つ選びました」とにっこり。
ネタに入れるため、内容もきちんと勉強したといいます。EXIT・りんたろー。は「テーマがあって、それに対してどういうものかを情報として入れてくれたのが聞きやすかったし、情報としてきちんと入っていました。それはSDGs-1を獲るコツでもあります!」と絶賛。
そんな中異色の出演となったのは、吉本新喜劇の信濃岳夫と金原早苗による小泉夫妻。
2人も「ジェンダー平等を実現しよう」、「海の豊かさを守ろう」という2つのテーマをチョイス。小泉進次郎・滝川クリステル夫妻に扮した2人が、絶妙なコンビネーションで笑いを畳み掛けます。
きよしは「びっくりしたわ〜。おふたり、おもろいな!」と感心していました。
とくに小泉進次郎氏に扮した信濃に「よう似てるわ!」と太鼓判。根本氏は「小泉大臣は以前お目にかかった際に育休のお話をされました。次の面会の際には今日のことを思い出しちゃいそうです」と吹き出していました。
顔、捨て…ないで再利用!?
続いてアインシュタインは「働きがいも経済成長も」を取り入れて笑いを起こします。まず稲田のつかみを、いつもの「顔捨てたろかな!」から「顔、再利用したろかな!」とSDGs仕様に変更!
さらに一時期、カリスマ美容師に憧れていたという稲田が、もし稲田がカリスマ美容師になったら……という内容で漫才を展開します。
きよしは「みんな大事やけど、今、注目されているのが働きがいと経済成長やもんね。よかったです!」と拍手。
根本氏は「体当たりの漫才でした。すごかったです」と圧倒された様子。
佐久間一行は、「安全な水とトイレを世界中に」、「海の豊かさを守ろう」をテーマにフリップ芸を披露。
歯磨き中の出しっぱなしの水や、シャンプー中の出しっぱなしのシャワーは「キュッと止める!」とし、「普段からキュッと止めるクセが付いていたら他の暮らしでも役に立ちます」などを、ほのぼのとしたかわいいイラストで見せてゆきます。
根本氏は「ほのぼのとしたイラストで。『キュッ』を国連の中でも流行らせたいと思います」とにっこり。
きよしは「ふたつのテーマを上手に取り入れて、素晴らしかったと思います」と高評価。
そして最後は昨年のM-1チャンピオン、ミルクボーイが出場。
なんと“SDGs全体をテーマにした漫才を見せる”といいます。
つかみでは「きれいな空気」をいただいたふたり。「うちのおかんが好きなプロジェクトがあるねんけど、プロジェクトの名前を忘れてな」ということで、SDGsか、SDGsではないかで笑いを起こします。
きよしは「おもしろかったわ〜」としみじみ。「こんなに国連に注文を出したのはキミらだけやな! よく理解できました!」と大笑い。
根本氏は「圧巻でした。素晴らしかった。『色がかぶってる』、『数が中途半端』。これ、ニューヨークに伝えます」と茶目っ気たっぷりに答えました。
芸人たちの「小さなことからコツコツと」
審査結果を待つ間、特別企画「きよし師匠に負けるな! 私たちも小さなことからコツコツとSDGsやってます!」を行い、ミルクボーイ、アインシュタイン、そして東京からEXITが参加しました。
環境省プラごみゼロアンバサダーでもあるきよしは「ひとりひとりが意識しないと、大きな答えは出ませんものね」と活動の大切さを語ります。
内海は「ドライヤーを一瞬しか使わない」と発表。「エネルギーのことを考えて角刈りにしていると言っても過言ではない」そうで、常にエネルギーのことを意識していたと言います。きよしは「内海くんの場合は長い間ドライヤー当ててたらヤケドするんちゃう?」と大笑い。
駒場は「使い捨て歯ブラシの歯磨き粉をしっかり使い切ります」と解答。ホテルをよく利用するようになり、使い捨て歯ブラシの歯磨き粉をもったいないと思って溜め込んでいるといいます。
根本氏は「“もったいない精神”ですね。私達の文化の中に根強くある価値観なので、それを広げていけたらと思います」と語りました。
アインシュタイン・河井は「観葉植物を育てている」と、環境を意識。
現在15個の観葉植物を育てているそうで「癒やされるんですが、外くらい虫が飛んでる」とも……。
稲田は「ビニール袋をもらわない」として、自分でつくったエコバッグを披露。
「Jibunde De TSUKUTTA」とプリントされているのですが、“De”が2重になっており、「バッグでも噛んでる!」とツッコまれていました。
根本氏は「稲田さんがお作りになったもの、ほしいですね!」と好反応!
東京からもEXITが参加。
兼近は「イグレスポットにてコラボカバン」と答えます。
「チャラくておしゃれなバッグです。買うだけで社会貢献になります」とアピール。根本氏は「このエコバッグの素材も再生ポリエステルなどを使うといいですね」と言うと、「もちろん使ってます!」とのこと。
りんたろー。は「お弁当箱WASH WASH」。
普段、劇場にお弁当を持って行っているというりんたろー。は、「お弁当箱を楽屋で水洗いしてから持ち帰ると、家で洗う時に洗剤が減ってSDGsの活動になっていると気付かされて」とのこと。
チャラいけれどきちんとしているふたりの人柄がにじみ出ていました。
グランプリは佐久間一行!
そしてついに、審査結果発表の瞬間。
審査委員長のきよしにより「グランプリは……、佐久間一行さんです!」と発表されると大きな拍手!
佐久間は全票数の24%を獲得。きよしから、優勝トロフィーが贈られました。
さらに副賞として、佐久間はよしもとSDGsアンバサダーに就任! 1年間、よしもとのSDGsの様々なお仕事をしていきます。
さらに根本氏から、国連グッズ取り合わせも贈られました。
佐久間は「めちゃくちゃビックリしてます。動揺してます。『持続可能な開発目標』ということで、僕も芸歴24年で、R-1を獲ってからも芸人を持続できているので、向いていると思うからがんばります!」と笑顔。
きよしは「17項目、ご理解していただいて、ネタの中に入れていただいて、上手にネタ作りをしていただきました。皆さんにも理解していただけたのではないでしょうか。根本さんが『我々は、地球を疲れさせたのではないか』と話されていたことがあり、そういう意味でも佐久間さんが自然破壊について上手にネタにされていて、本当に感心しました」と総評しました。
大会を見守ったEXITも、りんたろー。は「佐久間さんのネタも素晴らしかったです。ネタで使ったフリップが再生紙だったのも勝因だったのかなと思います」と、兼近は「ドキッとしたのが、ミルクボーイさんのネタの中で『バッジを付けているほどちゃんと理解していない』と言っていましたが、僕もちゃんと理解してなかったです(笑)」とコメントしました。
根本氏は「芸人さんたちのエネルギーレベル高すぎます!」と大満足の様子。さらにグランプリを受賞した佐久間には「佐久間さんのフリップ芸でSDGsを広めていってください」と期待を寄せ、「SDGs-1グランプリ2020」は幕を下ろしました。