“2児の母”横澤夏子が「国際協力」を学ぶ!
「知らないことを知ることが第一歩」

お笑い芸人の横澤夏子が2022年10月2日(日)、東京・丸の内の東京国際フォーラムで開催された国内最大級の国際協力イベント『グローバルフェスタ JAPAN 2022』に登場しました。横澤は、世界を取り巻く課題と国際協力について語り合う外務省主催のパネルディスカッションに参加。2人の娘を育てる母親として、身のまわりの課題に触れながら率直な意見を交わしました。
2022.10.08
『グローバルフェスタ JAPAN』は、外務省と国際協力機構(JICA)、国際協力NGOセンター(JANIC)が共催し、国際協力、SDGsなどに取り組む官民さまざまな団体が参加するイベントで、今年で31回目を迎えました。
今回のテーマは「ここからつながる世界。ともにここから作る未来。みんなが参加する国際協力」で、10月1日(土)、2日(日)の2日間にわたって開催。2日目に開かれたパネルディスカッションでは、「ここから私たちが作る未来~“今”を取り巻く様々な課題と“これから”の国際協力についてみんなで考えよう~」と題して、より多くの若者たちが国際協力に関心を持ち、かかわっていくためにはどうすればいいのか、というテーマで各方面のプロフェッショナルが語り合いました。

子育て中のママとパパにリフレッシュを!
この日のパネルディスカッションのファシリテーターは、国連開発計画(UNDP)駐日代表などを歴任した関西学院大学の村田俊一教授。パネリストは横澤のほか、外務省国際協力局審議官の宮下匡之氏、国連人口基金(UNFPA)アジア太平洋地域事務所の地域アドバイザーで医師の森臨太郎氏、元外務省職員で現在は脱炭素事業のコンサルティングを手掛けるシグマクシスの前田雄大氏、社会起業家のスタートアップを支援するtaliki(たりき)の中村多伽氏、そして、学生時代から技能実習生など外国人労働者の問題に高い関心を持ってきた17LIVEの河嶋可歩氏です。
まずはパネリストたちから、開発途上国の開発を巡る情勢や、感染症などのグローバル化の負の側面、難民問題、食料・エネルギー危機といった世界を取り巻く課題について、さまざまな問題提起がされました。宮下氏からは、時代の変化に応えるために政府が、開発協力政策の基本方針を示す「開発協力大綱」の改定を行うことにしたとの発言もありました。
森氏は、国連が掲げる「これからの社会に大きく影響する事柄」として、気候変動、少子高齢化、都市化(地方過疎化問題)、デジタル革命、不平等の拡大といった課題を紹介。世の中は「我々の我々ごとを、我々ごととして解決していく」という流れに変わってきていると指摘しました。

2人の娘を育てる横澤も身近な悩みについて語ります。
「まずは、病児保育の充実です。預かってくれる場所はいくつかあるものの、予約がいっぱいで探すのが大変なことも……。予約が取れない場合、父母が仕事を休む必要がある。休みをとる側の精神的な問題にはなりますが、会社の中で“休みやすい雰囲気づくり”ができたら嬉しい」

これまでもイベントやテレビ番組などでSDGsにかかわる発信をするなかで、とくに意識してきたのは「女性」と「子ども」の問題だという横澤。母親目線のアイデアによって、みんなが笑顔になってくれたらいいと言います。
たとえば、吉本興業の劇場に立っていると、赤ちゃんが泣き出して退出するお客さんがいるといいます。横澤は、“お父さん、お母さんにこそお笑いを見てほしい”との思いから、大宮ラクーンよしもと劇場に不定期で託児所を設置。「これは日本を変えるというより、吉本を変えるという話になっちゃうんですけど」と笑わせつつ、「子どもを育てる方々がリフレッシュできる場が増えたらいいなと思っています」と話しました。

その後のクロストークでは、各パネリストたちの問題提起を聞いた横澤が「知らなかったことが多々あった」と“気づき”を語ると、前田氏は「人にとって“面白い”や“役立つ”を結びつけないと、(課題や解決策が)周知されにくい」と指摘しました。
前田氏自身、EV(電気自動車)を購入した際に、地球環境への問題意識はもちろん、ランニングコストや国の補助金などを考慮すると“お財布に優しいから”という理由も大きかったと言います。そして、こうした“情報”を伝えることの重要性を、こんなたとえ話で説明しました。
「120円のバナナをスーパーで買うとき、ほかの店でそのバナナより美味しいバナナが100円で売っていたら、そちらを買いたいじゃないですか。しかし、そのスーパーの存在をみんな知らないから困っているわけです。僕はそういったことを、伝えていかないといけないと思っています」
知って参加する”ことの大切さ
来場者やオンラインライブの視聴者からの質問コーナーでは、若い学生たちが国際協力について興味を持ってほしいという大学教員から質問が出ました。これに回答したのは、talikiの中村氏と17LIVEの河嶋氏の2人。中村氏は、社会課題を解決する人材を増やす活動をしていて、河嶋氏は大学時代に技能実習生の受け入れに関する調査研究を行ったそうです。2人は、自身の経験を踏まえて回答します。

「(きっかけは)めちゃくちゃしょうもないんですけど、カンボジアに小学校を建てたのが最初の社会課題解決活動なんですが、カンボジアに小学校を建てたらカッコいいし、就活に有利そうだと思って始めたら、楽しくて。就職する前に自分の会社を作っちゃいました。打算的な理由で始めましたね」(中村氏)

「幼少期から外国人労働者と触れ合う機会が多くて、小学校のときから母親と(一緒に)外国人に日本語を教える活動をしていました。中学の授業で公民を習ったときに彼ら彼女らのバックグラウンドを知って、高校や大学で、いろんな国へ行きました。“家が恵まれていたからそういうことができたんでしょ”と言われるんですけど、実際はそうではなくて。大学などから寄付金をいただいて外国で活動していました。“おカネがないから私は無理”ということではなくて、それをどうやったら叶えられるか、情報を取りにいくのも重要なポイントかと思います」(河嶋氏)

パネルディスカッションの動画はこちらから(限定公開中)。